01熱中症
熱中症で毎年5万人が救急搬送され、その40%は屋内で発生しています。
死亡者の80%が65歳以上です。
以下の症状があれば、すぐに救急病院に連れて行きましょう。
- ☑ 意識がはっきりしていない
- ☑ 自分で水分が飲めない
- ☑ 症状がよくならない
特に意識がはっきりしていない場合は、すぐに救急車を呼びましょう。
<熱中症予防のポイント>
- ☺ 部屋の温度をこまめにチェック。部屋に温度計を置く。
- ☺ 室温28度を超えないようにエアコンや扇風機を使う。
- ☺ のどが渇かなくても、こまめに水をのむ。
- ☺ 外出時はからだを締め付けない涼しい服と日よけ。
- ☺ 無理をせず、適度に休憩。
- ☺ 日頃から栄養バランスの良い食事と体力づくり。
02自発的脱水症
自発的脱水症
脱水を防ぐために水をたくさん飲んだのに、汗がどんどん出て逆にだるくなり、脱水症になったことはありませんか?
大量の汗や下痢で体液が失われ、血液中のナトリウムの濃度が低下している状態で、水だけを飲んでいるとさらに体液中の濃度が薄くなるため、一定の濃度を保つように体が反応して尿や汗をさらに出してしまい脱水症になってしまいます。
これを自発的脱水症と呼んでいます。
脱水の予防には塩分と糖分を含んだ水分補給を
脱水、熱中症予防の水分補給は0.1~0.2%の食塩と4-8%糖質を含んだ水が推奨されています。
ブドウ糖はナトリウムと水を速やかに腸管から細胞に吸収する働きがあります。
補水液は1Lの水にティースプーン半分の食塩(2g)と角砂糖2-4個と、自宅でも簡単に作れます。
03もしやフレイル?
もしやフレイル?
加齢に従って徐々に心身の機能が低下し、要介護状態になっていく中間の時期を「フレイル」と日本老年医学会で定義されました。医学会は何かと定義づけが好きで、これまでもサルコペニア、ロコモティブシンドロームなどとカタカナが多く、定義自体もよく解らない状態ですが、先ずは心身の衰えを客観的に自覚することから始めましょう。簡単なフレイルの始まりを示す指標として下記の5項目で合計3点以上は要注意です。
6ヶ月間で2-3kgの体重減少がありましたか | はい:1、 いいえ:0 |
以前に比べて歩く速度が遅くなってきた | はい:1、 いいえ:0 |
ウォーキング等の運動を週に1回以上している | はい:0、 いいえ:1 |
5分前のことが思い出せますか | はい:0、 いいえ:1 |
ここ2週間わけもなく疲れたような感じがする | はい:1、 いいえ:0 |
筋力の衰えがフレイルの始まり
健康長寿のための三本柱、「栄養」、「身体活動」そして「社会活動」、すなわち自分の口で食べて、足で歩いて、頭で考えて、外に出かける、自立的な生活習慣が重要です。特に筋力の衰えがあると急速に進行します。
簡単な筋力テストで年齢相応か調べましょう。合計2点以上は要注意です。
握力検査 65歳男性26kg以上 女性18kg以上 | はい:0、 いいえ:1 |
開眼片足立ち時間 65歳60秒以上 | はい:0、 いいえ:1 |
通常歩行速度1.0m/秒以上 | はい:0、 いいえ:1 |
フレイルドミノを予防しよう
フレイルに対するリスクは下図のように、身体活動、文化活動やボランティアなどの地域活動の三つの要素で検討したところ、全て実施している人に対して全て実施していない人は16倍のリスクがあります。また、運動だけは実施しているA群に比して文化活動や地域活動はしているが運動はしていないB群はリスクが低下しています。このように友達と食事する、地域ケアセンターの趣味の集まりに参加する、ボランティアで活動するなど、社会に積極的に参加してフレイルを予防しましょう。
日本内科学会雑誌107「高齢者診療のトピック」から引用しました。
04不眠症
3人に1人が感じている不眠の症状
あなたは毎晩ぐっすり眠れていますか?不眠は、「眠れない」という夜間の苦痛だけではありません。
日中の眠気や、だるさ、集中困難など、心と身体にさまざまな影響を及ぼします。
ストレス社会ともいわれる現代社会において、不眠の訴えをもつ人は年々増加しています。日本人成人の3人に1人が何らかの不眠の症状を感じていると報告されています。
「眠れない…」と悩んでいるのは、あなただけではないのです。
不眠・睡眠不足と生活習慣病の深い関係
慢性的な不眠や睡眠不足は、うつ病などの精神疾患につながるだけでなく、糖尿病や高血圧症などの生活習慣病になるリスクを高めることがわかっています。
多くの研究から、睡眠時間と生活習慣病は互いに関連性があり、相互に影響を与えているといわれています。
不眠症状(入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒など)のある人では、ない人に比べて、糖尿病になるリスクが1.5~2倍高くなるという研究データも出ています。
また、睡眠時間が5時間以下の人では、高血圧になるリスクが2.1倍だったという報告もあります。
不眠や睡眠不足を改善することは、生活習慣病の予防や治療においてもとても大切なのです。
どうして不眠になるの?
眠の原因はさまざまですが、その一つとして考えられるのが、「睡眠」と「覚醒」のバランスの乱れにあります。
眠りたい時に、何らかの理由で、体を「覚醒」させる機能が、「睡眠」を誘う機能よりも上回ってしまった場合、不眠がおこるという仮説が提唱されています。
あなたの不眠の症状はどのタイプ?
不眠の症状は主に4つのタイプに分けることができます。
1つだけのこともあれば、複数のタイプを伴っている場合も多くあります。
タイプによって対処法や治療方法が異なるので、まずは、あなたの不眠の症状がどのタイプなのか知っておきましょう。
眠障害(なかなか寝つけない)
床に入って寝つくまでに、30分~1時間以上かかるタイプ。
精神的な問題、不安や緊張が強いときなどにおこりやすいといわれています。
中途覚醒(夜中によく目が覚める)
睡眠中に何度も目が覚めたり、一度起きたあとなかなか寝つけなくなるタイプ。
日本の成人の方では、不眠の訴えの中で最も多く(15~27%)、中高年でより頻度が高いといわれています。
早朝覚醒(朝早く目が覚める)
朝、予定時間より2時間以上前に目が覚めてしまい、その後眠れなくなってしまうタイプ。
高齢者に多くみられます。
熟眠障害(ぐっすり眠った気がしない)
睡眠時間を十分にとったのに、熟眠感が得られないタイプ。
ほかのタイプの不眠症を伴っている場合も多くあります。
治療薬を飲む前に
寝る時刻にこだわり過ぎないで
- 「眠らなくては」という意気込みでかえって頭がさえてしまい、寝つきを悪くすることがあります。
- 無理をせず、眠くなってから床に入るようにしましょう。
寝床は眠るためだけに使いましょう
- 寝床では、本を読んだり、テレビを見たり、ものを食べたりせず、眠くなければ別の部屋で過ごすようにしましょう。
- 別の部屋では、時間を気にせず、リラックスした時間を過ごすようにしましょう。
寝る前には、刺激物を避けましょう
- 夕食以降のカフェイン飲料(コーヒー、紅茶、緑茶など)の摂取は控えましょう。
- 軽い読書、静かな音楽、40℃くらいのぬるめの入浴、アロマテラピー(芳香浴)、軽いストレッチなどで心身をリラックスさせましょう。
- 夜の明るすぎる照明やテレビの光は、眠りの妨げになるので避けましょう。
睡眠薬の代わりの寝酒は避けましょう
- 寝酒は中途覚醒を増やすことが知られています。寝る前のアルコールの摂取で一時的に寝つきはよくなっても、夜中に目を覚ましやすくなったり、眠りが浅い状態になったりします。
- また、寝酒が続くと体がアルコールに慣れ、量を増やさないと眠れなくなり、依存症に陥ってしまう危険性もあるので注意しましょう。
8時間睡眠にこだわらなくても大丈夫
- 必要な睡眠時間は人によって違います。短くても、日中の眠気で困らなければ大丈夫です。
- 一般に、高齢になるほど必要な睡眠時間は短くなるといわれています。
毎朝、同じ時刻に起床しましょう
- 毎日の決まった時間に起床することで、体に一定の睡眠と覚醒のリズムが身につき、自然に早寝早起きへの習慣へとつながります。
- 忙しい翌週に備えて、前もって休日に寝だめをしようと、いつもと違う時間に起床すると、朝、目を開けて光を浴びるタイミングがずれ、眠気が出てくる時間帯が不安定になってしまいます。寝つきをよくするためには、平日、休日にかかわらず、毎朝起床時刻を合わせることが大切です。
朝起きたら、太陽の光を浴びましょう
- 目が覚めたらカーテンを開けて朝日を浴び、体内時計のスイッチをオンにしましょう。目から光の情報が入り、体内時計がリセットされると、その14~16時間後に眠気が出てきます
昼寝をするなら、午後3時までの20~30分にしましょう
- 午後の早い時間には、一過性に眠気をもよおすことがあり、体内時計によるものという説もあります。20分程度の短い昼寝は頭をすっきりさせ、集中力や作業能力の低下を防ぐ効果があります。
- ただし、長時間(30分以上)の昼寝は深い眠りに入ってしまい、脳と身体が休息モードに入ってしまってかえって逆効果です。
- 午後3時以降の夕方に眠るのは、夜の睡眠の妨げになるので避けましょう。
規則正しい3度の食事と、規則的な運動を
- 朝食は心と体の目覚めに重要です。なるべく同じ時刻に朝食をとることを心がけましょう。また、夜食をとる場合は、ごく軽めにしましょう。空腹で眠れないときには、消化の良いものを少しだけとるようにしましょう。
- 運動の習慣は夜の熟睡を促します。軽く汗ばむ程度の適度な運動を定期的に行うよう心がけましょう。
毎朝、同じ時刻に起床しましょう
- 毎日の決まった時間に起床することで、体に一定の睡眠と覚醒のリズムが身につき、自然に早寝早起きへの習慣へとつながります。
- 忙しい翌週に備えて、前もって休日に寝だめをしようと、いつもと違う時間に起床すると、朝、目を開けて光を浴びるタイミングがずれ、眠気が出てくる時間帯が不安定になってしまいます。寝つきをよくするためには、平日、休日にかかわらず、毎朝起床時刻を合わせることが大切です。
朝起きたら、太陽の光を浴びましょう
- 目が覚めたらカーテンを開けて朝日を浴び、体内時計のスイッチをオンにしましょう。目から光の情報が入り、体内時計がリセットされると、その14~16時間後に眠気が出てきます
昼寝をするなら、午後3時までの20~30分にしましょう
- 午後の早い時間には、一過性に眠気をもよおすことがあり、体内時計によるものという説もあります。20分程度の短い昼寝は頭をすっきりさせ、集中力や作業能力の低下を防ぐ効果があります。
- ただし、長時間(30分以上)の昼寝は深い眠りに入ってしまい、脳と身体が休息モードに入ってしまってかえって逆効果です。
- 午後3時以降の夕方に眠るのは、夜の睡眠の妨げになるので避けましょう。
規則正しい3度の食事と、規則的な運動を
- 朝食は心と体の目覚めに重要です。なるべく同じ時刻に朝食をとることを心がけましょう。また、夜食をとる場合は、ごく軽めにしましょう。空腹で眠れないときには、消化の良いものを少しだけとるようにしましょう。
- 運動の習慣は夜の熟睡を促します。軽く汗ばむ程度の適度な運動を定期的に行うよう心がけましょう。
治療薬の種類と作用
GABA受容体作動薬(GABAの働きを強める薬)
脳の活動を抑えて眠りに導く
脳の興奮を抑えるGABA(ガンマアミノ酪酸)という神経伝達物質の働きを促すことによって、脳の活動を休ませて眠りへと導きます。
お薬の構造から「ベンゾジアゼピン系睡眠薬」と「非ベンゾジアゼピン系睡眠薬」に分けられ、不眠症の症状や患者さんの生活状況などの背景に応じて使い分けられています。
メラトニン受容体作動薬(メラトニンと同じ働きをする薬)
メラトニン(睡眠ホルモン)に作用して眠りに導く
メラトニンは、体内時計の調節に関係し、睡眠と覚醒のリズムを調節する働きがあるホルモンの一つです 。
メラトニン受容体作動薬は、脳内のメラトニン受容体に作用し、体内時計を介することによって、睡眠と覚醒のリズムを整え、睡眠を促します。
オレキシン受容体拮抗薬(オレキシンの働きを弱める薬)
覚醒を維持するオレキシンの働きを抑えて眠りに導く
「オレキシン」は、起きている状態を保ち、安定化させる(覚醒を維持する)脳内の物質です。
オレキシン受容体拮抗薬は、その「オレキシン」の働きを弱めることによって眠りを促す、新しいタイプのお薬です。
脳の覚醒に関わるシステムを抑制することによって、脳の状態が覚醒から睡眠に切り替わることを助け、自然な眠りへと導きます。
05インフルエンザ
インフルエンザ
インフルエンザウイルスが原因で11月下旬から3月頃、温度20℃以下、湿度50%以下の低温で乾燥する時期に流行し、毎年約1,000万人が罹患します。
症状は、のどの痛み、鼻汁、くしゃみ、せきなどの「カゼ」の症状に、38℃以上の高熱、頭痛、関節痛や全身倦怠感が強く、「いつものカゼと違う」のが特徴です。
まれに高齢者や小児、妊婦、糖尿病などのハイリスクグループで重症化するため注意が必要です。
インフルエンザ | かぜ | |
---|---|---|
発病 | 急激 | ゆるやか |
発熱 | 通常38℃以上の高熱 | ないか、あっても37℃台 |
強い全身症状 | ある | ないか、あってもまれ |
上気道炎症状 | 全身症状の後からみられる | 最初からみられる |
咳 | 強いことが多い | 軽い |
検査
最近は発症後8時間程度から迅速検査は陽性になりますが、感染初期にはウイルス量が少なく迅速検査で判定困難な場合があります。
予防
インフルエンザはせきやくしゃみによる飛沫や接触で感染します。普段からの健康管理と手洗、うがいと流行前のワクチン接種が有効です。
ワクチンの予防接種で感染を完全に予防することはできませんが、インフルエンザにかかる人や重症化して入院する人を減らせます。現在日本で使われているワクチンは感染力を失わせた不活化ワクチンで免疫を作るのに必要な成分だけを取り出して作ったもので、ワクチン接種でインフルエンザを発症することはありません
日常的な予防
- 飛沫感染対策としての咳エチケット
- 外出後の手洗い
- 適度な湿度の保持
- 十分な休養とバランスのとれた栄養摂取
- 人混みや繁華街への外出を控える
- 健康管理、手洗、うがいと咳エチケット
治療
ウイルスの増殖を抑える抗インフルエンザ薬と発熱を和らげる解熱剤(アセトアミノファエン、麻黄湯など)や症状により咳止めや去痰剤なども服用します。
抗インフルエンザ薬は発症から48時間以内に使用すると、ウイルスの増殖を抑えて発熱などの症状が消えるのを早めたり、体外に排出されるウイルスの量を減らす効果があります。なお、抗ウイルス薬は増殖を抑制するだけで解熱しても体内にはまだウイルスが残っており、周りに感染する場合があります。
アスピリン、ジクロフェナクNa(ロキソニン、ボルタレンなど)は小児には原則禁止です。
インフルエンザにかかったら
治療と自宅療養、十分な脱水対策が必要です。発症後7日目でも鼻やのどからウイルスを排出している可能性があるため解熱後2日目までは外出は控えて下さい。
06高齢者糖尿病
高齢者糖尿病
糖尿病患者は2016年に1000万人を超え、年々増加しています。血糖を下げるインスリンとういうホルモンが十分に働かないために高血糖を来たし、その状態が長く続くと血管が傷つき、心臓病や腎不全、失明や足の壊疽などの合併症につながります。加齢とともに視力や聴力、心臓や呼吸機能、運動機能が低下するように、膵臓からのインスリンの分泌も減少し筋肉量の低下、内臓脂肪の増加などによりインスリンの効果も低下します。高齢者糖尿病は高血圧や脳梗塞などの様々な生活習慣病とも密接に関連しており、個々の体の特徴に合わせた治療が必要になります。
空腹時血糖は正常でも糖尿病予備群かも?
疲れやすい、体重や筋肉量が減ってきたなどの徴候がある、家族に糖尿病の人がいる方はまず血糖を調べましょう。空腹時で測定する検査や健診では正常でも、高齢者の糖尿病では食後の血糖が高くなる傾向があるので、食後血糖やHbA1cを測定しましょう。
血糖コントロール目標は
神経障害、網膜症や腎障害などの合併症予防のためにはHbA1c6.5~7.0%未満が目標です。しかし、高齢者糖尿病は低血糖のリスクが高いため、身体機能や他の病気の有無など、個々の状況で7.0%~8.0%とややゆるめの治療目標を設定します。
食事と運動
加齢とともに骨格筋の質・量の低下をサルコペニアといい、糖尿病になりやすいと言われています。筋力・活力が衰えて、体の予備能力が低下した状態をフレイルといい、フレイルに至る大きな原因がサルコペニアです。体重を減らさないように十分なエネルギーとタンパク質を摂取しましょう。
急激な運動は避け、家事や買物など日常生活での動作を増やしながら、軽い運動から、散歩や体操などの有酸素運動を行って下さい。先ずは無理のない程度から始めましょう。
認知症の予防
糖尿病はアルツハイマー病になる危険性が1.5倍、血管性の認知症になる危険性は2.5倍高くなるといわれています。注意力や記憶力などの低下が起こりやすいため、家族や地域の支援も必要になることがあります。